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スコーミッシュでの暮らし #18 トラブル編【山火事・スモーク・ハイウェイ封鎖・蜂】
2025-10-28 (ANJUブログ)
こんにちは!もうすっかりスコーミッシュの岩シーズンは終わりつつあります。たくさんの知り合いがスコーミッシュに登りにやって来た夏。もう、誰も来ないのかぁと思うとしばらくちょっぴり寂しくなりますね。
さてさて、多くの人が訪れる夏、天国みたいなスコーミッシュ。でも、実際に住んでみると、夏の間にも見えてくる現実もあります。
今回はそんな「住めば都」の逆、リアルな日常について書いてみます。
登りに来た際に以下の事象に遭遇する可能性もありますので、ツアーの参考にもなるかと思います!
山火事
まずは山火事についてです。カナダでは毎年、主に夏に、数千件の山火事が発生しています。特にスコーミッシュの位置するブリティッシュ・コロンビア州とお隣のアルバータ州での発生が多いです。
発生原因の半分ほどは落雷等による自然発火だそうです。(残り半分は火の不始末等人為的要因。)
なので、夏の間はブリティッシュ・コロンビア州のほぼ全域で焚き火禁止令が出ます。違反すると数千ドルの罰金にもなりますので、くれぐれも気をつけましょう。
実際につい先日はBC州内陸の Hope と Merritt の間のハイウェイで山火事が発生し、ハイウェイが封鎖されています。地元ニュースメディアによる映像はこちら。私もこの山火事の数日前に同じ場所を通っていたので、一気にリアリティが増して怖かったです。
スコーミッシュは内陸に比べて海に面しているので山火事のリスクは少なめですが、それでも、今年初夏に山火事が発生しています。毎日消火活動がなされ、トレイルの封鎖や近隣への避難勧告もありました。最近、封鎖トレイルもようやく徐々に解放されてきまして、行ってみたところ、ある地点を境に森の色が緑から赤に変わっていました。
トレイルの下部

赤い森

山火事で燃えてしまうと焦げて真っ黒な森になるのですが、今回は赤い森。不思議ですよね。実は、消火活動に使われる「赤くした薬剤入りの消火資材」によって森が枯れていたのです。水だけでなく、消火資材を撒くのは、木や草にしみ込ませて燃えにくくすることで、延焼を遅らせてバリアを作るためだそう。ただ、この消火資材によって一部のコケや、地衣類、小さな植物、葉っぱ等が枯れてしまい、森がオレンジになっていました。
燃え広がらないためにのベストな手段だったとはいえ、森が枯れたり弱っていく様子を見るのはなんとも心苦しいものでした。
スモーク
スコーミッシュでは山火事のリスクが少ないといえども、遠くの山の火事によって街全体がスモークで覆われてしまうことがあります。それはこの街が、谷間・風の通り道・海が近く湿度が高い、などの地形的条件によってスモークがとどまりやすいためです。そのため、例えば、国を跨いだアメリカのシアトルでの山火事でもスコーミッシュまでスモークが届くそうです。実際に、9月中にもペンバートンというスコーミッシュから少し離れたところで起きた山火事によって、街全体がスモーキーになってしまいました。
この写真の日は北米でスコーミッシュが一番汚い街と数値上でていました。こういった天気の中の屋外活動は当然体にも良くないので、クライミングは避けた方が良いでしょう。スモークの状況を確認したり、予報はこちらから確認できます。
ハイウェイ封鎖
バンクーバーからスコーミッシュに行くには、Sea to Sky というハイウェイを走ります。カナダではハイウェイは無料で走ることができるので、交通費としてかかるのはガソリン代だけ!なのは良いのですが、実はスコーミッシュに行くための手段として、このハイウェイ以外の道がありません。
先ほど、山火事でのハイウェイ封鎖を書きましたが、通常の事故でも良く道路封鎖が起こります。特に Sea to Sky は交通量が多い一方で、曲がりくねっているので、事故も多いです。なので、週末や連休の日には時々交通事故でハイウェイが封鎖されてしまいます。そうすると、街から出れなく・入れなくなってしまいます。
私も最近アルバータ州から900km12時間1人で運転し、あと5分で家に帰れる、という所でSea to Skyで事故が起きて、5時間立ち往生しました。。。この日も連休だったので、連休や週末には要注意です。
Sea to Skyハイウェイの事故に関する情報はこちらから確認できます。
蜂
最後に、蜂刺され。これは世界中どこでもありますね。でも初めて蜂の大群に襲われました。。。
それは、Top100 の Apron Strings の1ピッチ目、苦手なクラックのレイバックを登り終え、安堵していた時のこと。さて、時間も時間なのでこのまま降りるか、2ピッチ目も登るか迷っていると、気がつくと20匹くらいの蜂に包囲されている…。
そして蜂、めちゃめちゃ怒っている。
てか、刺してこようとしてる!!!
降りなきゃ!
ということで、地上30mから急いでロワーダウンしてきたのですが、その間、蜂からの襲撃を受け続け、服の上から、服の中から、刺されまくり。。
カムを回収しつつ、蜂との死闘を繰り広げ、なんとか地上に降りてくる頃には蜂の数はグッと減り、なんとか逃げ帰ることに成功しました。
結局蜂に刺されたのは意外と少なく四箇所。
お腹二箇所と、

左腕と、

あと、太もも。
刺された直後なので普通にすごく痛いのですが、幸い呼吸の乱れや眩暈等のアレルギー反応がほとんどありませんでした。なので病院には行かず、念の為薬局で蜂に刺されたことを伝え患部を見せると「水でよく洗って、After Bite(市販の虫刺され薬)塗れば大丈夫だと思う。」とのことだったので、そうしました。
ちなみにアシナガバチやスズメバチは英語でwasp、ミツバチはBeeです。今回はアシナガバチに刺されました。
実際、腫れも少なく、痛みも翌日には消えてまた元気にクライミング再開してました(前回の記事、クリスとのクライミングがまさにこの翌日でした笑。)
蜂に刺されてアレルギー反応『アナフィラキシーショック』が起こると危険とされています。これは、これまでに刺された回数や、それまでのアレルギー反応の有無に関わらず起こる可能性があるそうです。症状が出た場合はすぐに救急車を呼び、エピペンを使用するのが推奨されています。
カナダではこの『アナフィラキシーショック』を対処できるエピペンが処方箋なしで購入可能です。なので、この国ではエピペンを持ち歩くことも対策の一つのようです。
※熊
以前クマについては書きましたので、今回はクマ以外について書きました。クマについてはこちらからどうぞ。
最後に
以上、住んでみてわかったスコーミッシュのリアルでした!特に山火事によるスモークは、一夜にして世界が変わってしまうので驚きました。
スコーミッシュに来る際には、今回の記事のことを頭の片隅に入れて、でも基本的にはクライミングパラダイスのような場所だと思って来てくださいね。

寺井杏雛