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スコーミッシュでの暮らし #17 初!カナディアンと5.11マルチ

2025-10-15 (ANJUブログ)

こんにちは!

この夏は、5月の末から9月の半ばまでほぼずっと日本の友人・知り合いのクライマーが登りに来ていました。これが毎年のことなのか、今年が特段多いのかはわかりませんが、おかげでホームシックになることもなく、パートナー難民になることもなく過ごせました。登ってくれた方々、遊んでくれた方々、ありがとうございました!

ところが、問題は、スコーミッシュでローカルの友達ができなかったということ。笑
雨シーズンの目標はクライマーの友達をジム等で作ることです。

今回は、そんな私の数少ないカナディアンのクライマー友達、クリスと夏にマルチピッチに行ってきたお話です。

クリスはバンクーバーアイランドに住んでいます。バンクーバーまでフェリーに乗ってやってくるところに住んでいるクライマーなので、スコーミッシュのローカルクライマーではありません。ですが、週末や連休の際にはよくこちらに登りにやって来て、来るたびにメッセージをくれるので、タイミングが合えば登る仲です。
そして、今回はマルチピッチに行こう!とのこと。

この夏、ゆるマルチにばかり行っていた私にとって、5.11のマルチはちょっと腰が重い。

何より、相手がカナディアンで英語もちょっと不安。特に、カナディアンは多くの人がマルチピッチの際にトランシーバーを使います。日本だと、「ビレイ解除〜」って叫ぶことが多いですが、こちらは1ピッチが長くて聞こえない/ハイウェイが近くて声が聞こえない等、シーバーが主流です。大きな声を出さなくていいのは非常に楽なのですが、英語の聞き取り難易度が高まるので不安。

さらにさらに、前日アシナガバチの大群に襲われて四箇所刺されるという非常事態も発生していて、正直登りたくないまである。。。
でも遥々遠くから私というパートナーを宛てにしてやってくる彼に対してドタキャンはできないと思い、気力を振り絞って行ってきたのが Fogducker (5.11a、4ピッチ) です!

Fogducker (5.11a、4ピッチ) 


岩頭のカンテ沿いを登っていく、フェイスクライミングからワイドクラックハンドクラックまで短いながら充実の4ピッチです。

場所はSlhanay、エプロンの駐車場から砂利道をぐんぐん進んでいくと辿り着きます。
このSlhanay周辺には4ピッチ前後の短めマルチが多数あるのでおすすめです。特に、私のような5.11や5.12も登るんだけど、マルチピッチは5.10代中心になりがちな人がもしいれば、ピッチが短い分すごく挑戦しやすかったのでおすすめです。

アプローチは最初はスラハニーのトレイルを辿り、壁の手前で左へとトラバースしていき、さらに奥を目指します。草をかき分けながら進む、ちょっと険しいアプローチでした。

↑左下に写っている白い細長い物体はロープ。このロープを辿っていきますが、前日蜂に刺されている私からしたら茂みが無性に怖かったです。

1ピッチ目(40m、5.11a)

グレード的な核心はここの出だしの2ボルト。クリスがリードしましたが、テンションを何度かしながらなんとか抜けていきました。フォローした私はというと…かなり悪く感じました。。というかテンションした挙句、本当に核心が越えられずにエイドで抜けました笑。正直キーホールドに届かなかったのでリーチ無いと相当悪いんじゃ無いかなぁと、思ってしまいました。

2ピッチ目(30m、5.10a)

左向きのワイドクラックを登り、広いテラスに向かいます。ワイドクラックといっても、いろんなサイズのカムでプロテクションが取れたのでトポ通り、大きいギアは必要ありません。

この日は雨の翌日とかでもなかったのですが、クラックの中がしっとり苔苔。
本当にここ〜!?って正直思ってしまいましたが、間違いなさそうです。ちょっと滑りそうで怖かったです。

3ピッチ目(40m、5.10c)
クラックを直上後、右へトラバースし、再びクラックを登っていきます。このピッチはしっかり乾いていましたが、ちょっとランナウト気味で怖く感じました。(フォローだったけど。)

4ピッチ目(30m、5.10d)

ハイライトピッチ!
ビレイ点から右側のハンドクラックを登り、左上しながらボルト2本を越えてフェイスムーブをこなしていきます。 途中フレークも登場するなどなかなかの充実感。さらに、右に進んで3本目のボルトを通過すると、アンダークリングが登場!かなりの露出感の中、慎重にアンダーレイバックのような体制で進みます。ここはもちろんナチュラルプロテクション。このセクションが終わると再びボルトが出てくるので、右へ抜けてあとはマントルを返すだけ!ところがこのマントルもなかなかに悪くてスリリング!

露出感も満足感も特大な最終ピッチ。

登り終えて、頂上でパシャリ↓


クリスとのトランシーバーも問題なかったです。クライミングという言語を前にした時、言語の壁は消えるのかも知れません。


ちなみに英語だとマルチピッチの掛け声は以下のようになります。
※クライマー(C)、ビレイヤー(B)

日本語 英語 補足
テンション(C) Take! ロープ張って!テンションかけて、の合図。

ロープちょうだい(C) Slack! 主にクリップ時など

ビレイ解除(C) Off belay! 登り終わって確保解除OKの合図。

ロープいっぱい!(B) That’s me! もうロープのたるみ無くなったから「ビレイ開始してOK!」の合図。

ビレイオン(B)

On belay! 「確保してるよ」。安全確認の返答。
登ります(C)

Climbing! 登り始める前の宣言。
はーい(B)

Climb on! 「OK、登って!」の返答。
ロワーで降りる(C)

Lower! 降ろして!の合図。
ロワーで降ろす(B)

Lowering! 降ろすよ!の返答。
ストップ!(C) Hold on!  ギア回収時等の「ちょっと止まって!」の合図。

特にThat's me! が私は好きです。日本語だと「ロープいっぱい!」なのが、英語だと「それ私!」可愛い〜!


さてさて、残すは懸垂下降。60mロープで6回の懸垂下降です。

比較的わかりやすく、問題なく降りれました。
混んでいた割に、サクッと半日かからず終われたのでよかった〜!


全てが終了し、いつも以上の安堵感でした。
なんせ、前日蜂に刺されてブルーな上に、初のカナディアンとのマルチだったので!
そして、想像以上に満足度の高いルートでした。最終ピッチの、フェイスからクラック、マントルまで盛りだくさんなのが非常に楽しかったです。

トポを見ると4つ星でもTop100でもないのですが、私たちの他に前に1パーティ、後ろに1パーティいたので、比較的人気のあるルートのようです。

ちなみに、真夏の週末に行きましたが、夏の週末は4つ星やTop100は3パーティではとても済みません。5パーティや常に行列が当たり前。スコーミッシュの週末はそんな感じなので、Slhanayのマルチは比較的穴場なのかも知れません!

では、では、また。

寺井杏雛