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スコーミッシュでの暮らし #12 Tantalusアルパインクライミング②

2025-08-25 (ANJUブログ)

スコーミッシュの北西に位置するTantalus(タンタラス)というアルパインエリアにヘリコプターを使って行ってきました!
前回の続きになりますので、まだの方はこちらから。

DAY2 Serratus / Crosmiques Arete / D 5.9 250m

さて、DAY1はがっつり行動したので、今日は軽めに行動して、DAY3で長いマルチに行こう、ということでテントサイトから近くのSerratusへ向かうことに。

写真の通り、テント場から見えているすぐそこの山です。

朝からの〜〜んびり準備や食事をしていたら出発が10:30に。笑
でも、この時は「半日でサクッと終えて夕方にはテント場戻って早く寝ようね〜」なんて呑気に話していました…。

10分ほど雪の上を歩いたらすぐにスクランブリング開始。
ここまでロープもアイゼンも不要です。

1時間ほどスクランブリングをしていたら、「あれ、なんかそろそろロープ出したほうがいいんじゃない?」と思ったら…

自分の下、パートナーの目の前にボルト発見!笑

もうクライミングパートが始まっていました。その場でロープアップして改めてクライミング開始。
一箇所だけクライミングをして、あとは再びスクランブリングのようなセクション。


ロープアップから30分後、12時には1stピークに到着しました。
ラペルアンカーを使って1stピークのコルにラペル。

次のピッチのラインが非常に分かりにくく、とりあえずラペルしておりてきた岩の正面をランナウトしながら登ります。

登っていくと残置スリングがあったのでピッチを切りました。

その後は再びスクランブリングでトラバースし、2ndピークの取り付きへ。

写真の正面の大きな岩頭が2ndピークになります。

2ndピークへ向かう1ピッチ目は分かりやすく、綺麗なクラックをたどります。

途中ピトンの終了点がありますが、そのままスクランブリングをして2ピッチ分60m登ってピッチを切りました。

最初のクラックパート以外は基本スクランブリング。


もう1ピッチ分スクランブリングすると、2ndピークに到着、コルに降りるラペルアンカーもありました。
この時点で15時。「あれ、思ったより時間かかるな…」とアルパインの厳しさを感じます。

しかし、ここでさらにトラブル。
私はアンカーから真下に向かってラペルしたのですが、行けども行けどもアンカーが見当たらない。。。
恐らく、「写真の左側の稜線に向かってラペル」が正解だったと思います。(私の推測に過ぎませんが)

オフルートしてしまったものはしょうがない。
1ピッチ分正規のラインに向かって登ります。


2ピッチ目では、脆かった岩も次第に綺麗になり、正規ルートに戻って来れた感!
そして、この3rdピークに向かうクライミングパートに5.9というグレードがついているように感じました!
しっかり楽しいフリークライミング!(写真撮りそびれちゃったけど!)

最後は楽しい稜線歩き!

なかなかスリリングな岩頭の上にも立てちゃいます。(横からも巻けます笑)

2ndピークからのラペルミスやオフルートなどあったので、3rdピークに立てたのは18時過ぎ。
Serratusのピークは下降ポイントのさらに奥なので、今回は諦め下降を開始します。

下降ポイントを目指して少しスクランブリング。トラバース移動になりますが、ラペルアンカーにたどり着いたのは19時。そこからは6回のラペルになります。

全てラペルアンカー有り。

「あとはラペルして帰るだけだ〜〜〜!」と思っていたら、最後…
DAY1の取り付きと同様 "岩と雪の隙間" が登場。

大ジャンプで雪上に移ることに。笑
怖かった!!!

一応、ラペルステーションがもう1回分あり、7回目のラペルをすればもう少しジャンプがマシになったかもしれません。。。?

こんな雪景色ですが、日に当たるとものすごく暑いです。熱中症になるんじゃないかと思うほど、日差しが強い。それだけ暑ければ日々、山の上の雪も溶け、岩と雪の隙間も広がり続けるのでしょう。
なので、こういったカナダの氷河・雪の上のアルパインエリアは6月、7月がシーズンなことが多いです。

20時半前に無事に雪上に。


30分も歩かずに21時前にはテントに戻ることができました。
近場の山を選んでよかった!

とはいえ、軽め行動・半日行動のつもりが10時間半行動に。笑
やはり、アルパインクライミングというだけあって、山は大きいです。
大きい分、時間もかかる。
そんな当たり前のことを学びました。

でも、時間がかかったおかげで、帰りこんなに綺麗な夕焼けを望めました。


そして、水作り、夕飯、翌日こそは早朝から動けるように翌日分の朝昼ごはんとギア準備等々していたら、あっという間に24時半に。
山の上はすべき事がすごくシンプル。
「寝る・食う・登る」だけ。今回、私は電波もほとんど入らなかったし。

それでも、こんなにあっという間に時間が過ぎてしまうのは、本当に贅沢な時間だなと感じます。
時々、意味もなく、際限無くSNSを見てしまう時がある。
YouTubeをひたすら見ている休日だってある。
その時間やその日を100%無駄とは言わないし、時々私にもそういうダラダラは必要です。

でも、山の上にいると、24時間全ての時間を惜しみなく、生きること、そして遊ぶことだけに使える。
仕事のこと、人間関係のこと、些細な問題、将来の不安、余計なことを考える暇さえない。
100%今を生きられる。そんな最高に贅沢な、久々の山の上生活でした。



DAY3に続く…。

※記載の情報はすべて2025年7月時点のものです。


text : 寺井杏雛
Photo credit : Tempei Takeuchi / 寺井杏雛