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スコーミッシュでの暮らし#38 緊急ビバーク…

2026-09-28 (ANJUブログ)

みなさんこんにちは!
今回は緊急でビバークをした話になります…

全く誇れる話ではないのですが、山遊びに「想定外」は付きもの。
そして、「想定外」から生還するには経験と知識が必要だと思います。
だからこそ、どんな風にビバークをしたのか、ぜひシェアさせてください!


ビバークとは
ビバークとは、十分な宿泊装備(テント、時に寝袋も)なしで野営を行うことです。

日本語で一般的には、「ビバーク=計画外の野営」という印象が強いかと思われます。
でも計画的にビバークをする場合もあります。例えば、ワンデイはできないため寝る必要があるが、十分な宿泊装備を持っていけないような場面 ー ヨセミテのビックウォール中に、テントなしで壁で寝泊まりすることはまさにビバークでしょう。


今回の私たちの計画
今回は、Golden Ears - Blanshard Needle traverse という全然有名でない登攀を伴う縦走に行きました。標高はだいたい1600m前後を縦走。7月に実施。
ちょっとマイナーなだけあり、事前にネットで調べても出てくる情報は1、2件ほど。
その前情報の中で、クラス5のスクランブリング(ロープは必須ではないが、5.6よりも易しい5.0~5.4程度のクライミング)と複数の懸垂下降を伴うことはわかっており、10時間以上の行動になることは容易に想像できていました。
また、不安要素として、メンバーの1人がクライミングやロープワーク経験がほとんどないことがありました。(直前にロープワーク練習などは実施。)

以上を踏まえて、
・多めの水、水源の確認
・多めの食料

・エマージェンシーブランケット
など万が一に備えて用意しました。


当日
朝6時に家を出て移動。歩き始めは8時30分。
スタートは標高を一気に上げるハイキング!

クライミングやロープはもちろん不要なので、何の心配も要りません。かなり早いペースで登って行きました。ここまでは予定の時間通り。

12時、いよいよ一般登山道を離れスクランブリングの開始です!
ところが、想像以上の藪漕ぎと藪に隠されてルーファイ(ルートファインディング)が非常に難しい…。

踏み跡を辿りたくても7割不明瞭。ここからはペースが落ちまくりです。

おまけに、ちょこちょこ出てくるスクランブリングがしっかり悪い。


懸垂下降支点を探すのも一苦労。懸垂下降自体も初心者には難しいようなものばかり…とペースはどんどん遅くなり…。

18時半、全体の2/3くらいの地点でビバークを決めました。
カナダの夏の日は長いのでまだ明るい時間でしたが、ビバークの準備をしっかりして明日に備えることに。
そう決めた理由としては、夜間行動が危なく、翌朝日が昇ってから下山する方が安全と判断したためです。

藪漕ぎといっても崖の上を藪漕ぎしているので一歩間違えれば崖の底に滑落です。ルーファイが難しく何度か崖の方に迷い込みました。またスクランブリング、懸垂下降も初心者がいる以上夜間には避けたいです。

一方で、明日少なくとも半日動けるだけの水と食料、エマージェンシーブランケットがあり、天候も安定していることがわかっていたので、ビバークした方が安全という結論になりました!


初のビバーク
私は高校生の頃富士山山頂で御来光待ちを5時間半くらいしたことがあり、今思えばあれは初のビバークでした。当時は夜間登山の規制が今とは違ったので、夜通し登って、日の出を見て帰るつもりが早く山頂に着きすぎました笑

その時もエマージェンシーブランケットを持っており、本当に幸運なことに無風の日でした。

↑おかげで天の川が綺麗すぎました。「吸い込まれそう」と本気で思ったのは後にも先にもまだこの一回だけ。

夏の日・無風でも3776mは極寒。震えながら日の出を待ったことをよく覚えています。ただ、寒くてほとんど寝れないけど、待ってれば日が昇ることをこの日学びました。
風が強い日だったら、間違いなく低体温症になっていたと思います。風の予報もチェックしていない無知な高校生でしたが、幸運にも山に大事なことを学ばせて貰った日でした。

一方で今回のビバークは1600m付近。夜間風は少し出る予報だが、富士山と比べれば2000m低い。過去の経験と照らし合わせて、まあ無事に朝を迎えられるだろうという希望になりました。


今回の服装
今回の1番の不安ポイントは私が「短パン」であるということ…!

カナダに来て「短パン」で山に入ることが増えました。それは自分の体力がつきトレランのように走ったり速い速度で移動できるようになったので、そういった軽量スタイルに変わったからです。
でも今回に関しては、そもそも、同行者の2人はトレランスタイルではなかったので、私も一般の登山スタイルに合わせるべきでした。

上は速乾性の半袖、薄手の長袖、シェル。
まあ、何を嘆いても現実は変わらず短パンは短パンだし、上半身もそこそこ寒そうです。


今回のビバーク
さて、実際のビバークですが、同行者の1人が山でのファーストエイド講習(応急処置講習)を受けておりエマージェンシーブランケットの効果的な着方
・ジャケットの下、なるべく肌に近いところに着用すること
・二色展開のものは銀色の面が内側にくること
を教えてくれましたので実践。


こんな感じでジェケットの下に入れ込み、


こんなふうに足元で結びました!

そしたら非常に暖かかったです!
日が落ちると流石に寒かったですが、風を避けられるところに3人でくっついて寝て、凌ぎました。


私が薄着なだけあり、一度トイレに行ってブランケットを解いてしまった際に、一気に体が冷えて震えが止まらなくなってしまいました。その時には2人にさすってもらってなんとか回復。あとで知ったのですが、こういう時には、何かを食べてエネルギーを補給するのが効果的な体温のあげ方だそうです。

ちなみに、ほぼ寝れなかったです。「寝落ちしては寒さで起きる」を繰り返していました。

また、後日ブランケットの巻き方も調べてみました。
わかりやすく、もっと寒い状況を想定している動画を見つけたので、参考までにリンク貼っておきます。動画はこちら。


無事に迎えた朝
朝はいいものです。


この日はあいにく霧が濃くて太陽には会えませんでしたが、明るいだけで気力が湧いてきます。
まだまだ寒いですが、行動食を食べ水を飲み、肩を回したりジャンプして体を温めて、下界を目指し始めます。

難しい懸垂下降が何度も出てきて、結局6時半行動開始で、パーキングに戻ったのは16時半。
二日間とも10時間行動。最後、一般登山道に戻ってきたタイミングでは、水も食料も尽きて無心で2時間半車を目指して歩きました。


カレーが食べられなかった
下山後、車に積んでいたパンを貪ってから、念願の温かい食べ物を求めて街へ。
日本食レストランに入り、チキンカツカレーを注文!

しかし!体が全く受け付けない!挙句吐きそうになる。
大学生の時8ヶ月間だけ大学山岳部に入っていた私。「食トレ」などという謎の訓練を経て、寝起きでも高熱でもいつでも沢山食べれるようになりましたが、今回ばかりは食べられませんでした。
一晩中凍えて、不十分な水と食料での長時間行動、、、体へのダメージは半端ではなかったんだと知りました笑。


同じようなことを繰り返さないためにも、本当にいい経験になりました!正直、楽しかったです!
来年からは計画的ビバークを組み込みながら、山で遊ぶ術を増やしていきたいなと思いました。


…という私のビバーク記録でした。
不甲斐ない記録ですが、エマージェンシーブランケットの暖かさだけでも伝わったら幸いです。軽くて嵩張らないので、不安な山行時には、携帯することを強くお勧めします。
また、不甲斐なくとも、この経験をシェアすることで、誰かがより安全に山を楽しめたらいいなと思っています。


では、また!
寺井杏雛