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Squamishでの暮らし #3

2025-06-04 (ANJUブログ)

「墜落が怖い。」

何かを克服するということには、マニュアルも答えもなくて、時に繊細で時間を要するし、時に大胆で一瞬のうちに解決してしまうこともあって、人生の醍醐味のようにも感じます。

私は、2年前にヨセミテで大敗退して、さらに大堂海岸で険しいトラッドをやるうちに、恐怖心がどんどん大きくなってしまい、
一度ロープクライミングから離れてボルダーに移行していました。

もともと私は「ワイドクラックだけ登る人」という異端児でして(笑)、
一般的なクライミング力が低かったので、今思えばボルダーに集中するというのはすごく良い選択でした。

約1年間ボルダーにフォーカスしたおかげで、しっかり基礎が身についてきて、前回のブログにも書かせてもらいましたが、スポートで成長を感じることができました。
となれば、そろそろ大好きだったトラッドに戻っても大丈夫なんじゃないかな、そんな思いを胸に今回はSmoke Bluffsでトラッドしてきました!

Smoke Bluffs

前日しっかり雨でも昼前にはクラックも乾き、アプローチ10分未満で綺麗なクラックがそこらじゅうに出現するという夢みたいなエリアです。
その分、休日に行きましたがかなり混んでいます。タイミングを見計らって空いているクラックを登るか、順番待ちするかって感じでした。

アップに触ったのは、
Flying Circus 5.10a(Top100)
10aながら、朝から目が覚めるような綺麗なフィンガークラック。緊張感ありまくりでした!


お次に、Crime of the Century 5.11c(Top100)

見逃しようのない綺麗なフィンガークラック。
フィンガークラックはこれまで11aまでしか登ってませんが、こんなに綺麗なクラックを目前に登らないという選択肢はないので、わくわくでとりつきます!


出だしからボルダリーなムーブ。私は#0.2だけでデットでクラックを取りに行くパワームーブになってしまいました。
中間は指の細い(一般的な女性の指先の)自分には易しく感じました。指も足もしっかり効いてて、ところどころ遠い一手を取りに行くような楽しいクライミング。
しかし、最上部の右側のクラックが思ったよりも閉じていて、あたふたしているうちに足が滑ってフォール!

あぁ惜しかった!でも恐怖心のかけらもなく良いOSトライができたことがまず、とても、とても、嬉しかった!
その後は丁寧にクラックを探ってトップアウト。

少し休んでから、もう1トライして落ち着いてRPできました!


さて、お次はSplit Beaver 5.10b (☆☆☆☆)

久々のワイドクラックです!#4,#5のいや〜〜なサイズのワイドクラック。
中間から、フィストがスカスカになってしまい、フィストとアームバーを組み合わせて登っていきましたが、核心でフォール。
その後なんとかトップアウトしたものの、#5をスタックさせてしまうというボロボロ具合。
もともと全く得意でないサイズでしたが、5.10bのワイドに落ちるって、ちょっとワイド好きを名乗っていた身としてはとてもとても悔しい!ワイドギアのスタックもなおさら!
(写真は一緒に登っていたてんぺいさんがスタックした#5を代わりに回収してくれたところ笑)

悔しさを胸に、もう1トライ。でもやっぱり同じところが抜けられない〜〜!
満身創痍疲労困憊なところに、核心超えたところで今度は膝がスタック笑
踏んだり蹴ったりな久々ワイドでした笑

でも肘の傷、翌日の足腰の筋肉痛、全部が懐かしくて嫌いじゃないので、またワイドクラックもたくさん登ります!


最後は気持ち良く終わりたいなと思い、Witch Doctor’s Apprentice 5.9(☆☆☆)

コーナーを登っていきます。一箇所中間のハング越えがピリッとスパイスになった、マルチピッチの途中に出てきそうな楽しい5.9でした!

今日もとっても楽しい1日でした。クライミングってなんでこんなに楽しいんだろう!
何よりも今日は、完全にロープクライミングの墜落の恐怖心を払拭、克服できた日!嬉しい!
時間がかかったけれど、クライミング、トラッド、やめなくて良かった。
好きなものを心の底からまっすぐ好きと思えることの幸せを噛み締めました。

少しずつでも前向きに動き続けていたら物事は必ず良い方向に行くし、
楽しいって気持ちを一番大事にしていたら人生は必ず豊かになる。
そうであって欲しいです。



寺井杏雛